|
分離不安
飼い主の不在時のみにみられる問題行動で、無駄吠え、破壊的行動、不適切な排泄、嘔吐、下痢、震え、自傷的行動等の行動がみられます。
犬は群れで行動する動物で本来群れの仲間と一緒に生活していて、特に子犬は一匹でいることが苦手な動物です。成犬になるとだんだん群れから離れても不安は起こらなくなります。
しかし、飼い主の外出に対する馴化不足(飼い主がいつも家にいる環境で育った犬)、外出及び帰宅時の飼い主による犬への関わり合いの過多などがあります。
<対策>
・行動療法:飼い犬と犬との関係の再構築。
外出に対する系統的脱感作 and/or 報酬を利用した逆条件づけ。
外出を気づかせる手がかりを与えない。
外出及び帰宅時の飼い主による犬への関わりの排除。
・薬物療法:行動療法の補助として用いられる。
騒音恐怖症
雷、花火、飛行機の音などに対して起こす不安行動や逃避行動です。大きな音に対して不安行動を示すだけでなく、パニック状態となることもあります。
犬は一定以下の音(刺激)に対しては、繰り返し与えられるとそれに慣れていくのですが、一定以上の強い音(刺激)に対しては、恐れや逃走の反応が引き起こされ慣れることがない場合があります。
すなわち、音(刺激)に対する恐怖が古典的条件づけされてしまうのです。
社会化不足、過去の経験(例えば、雷の時に驚いて体のどこかにぶつけるなどの肉体的苦痛、痛みを伴ったときには
いっそう激しい)、飼い主の不適切な強化(犬が不安の行動を示したときに、なだめたりするとそれが褒美となり恐怖症がどんどん悪化する)等が要因のことが多いようです。さらに、騒音恐怖症は
一つの音(例えば花火の音)に対しても恐怖が強化されると、それ以外の大きな音(例えば雷の音)に対しても恐怖症になってしまうことがあります(刺激般化)。
<対策>
行動療法:飼い主と犬との関係の再構築
恐怖の対象になる音に対する系統的脱感作 and/or 報酬を利用した逆条件づけ。
不適切な強化(なだめる、だっこするなど)の禁止。
薬物療法:行動療法の補助として用いる。
(2)その他の問題行動
無駄吠え
飼い主にとって困るように吠えることが無駄吠えで、行動学上の用語ではありません。吠えることによって近所に迷惑をかけるといった理由で無駄吠えとするのが
現代社会の慣例とされているのです。犬が吠えることは犬にとってのコミュニケーション手段であり、何らかの理由(縄張り性行動、分離不安、飼い主の注意を引く、他人に対する攻撃、恐怖
、などさまざま)があります。ですから、無駄吠えを無くすには、吠える理由・原因を明らかにし、それぞれの理由・原因にあった方法をとらなければなりません。
<対策>
・環境の変更
・行動療法:吠える刺激に対する系統的脱感作 and/or 報酬を利用した
逆条件づけ。
飼い主の不適切な対応と強化の禁止。
嫌悪刺激を罰として用いる(負の強化)。
ただし、犬の行動ニーズを満たしていないことが原因の時は逆効果。
不適切な排尿(子犬のトイレットトレーニング)
子犬のトイレのしつけはそれほど難しくありません。自分の巣穴を清潔にし、臭いにより外敵から巣穴を悟られないようにする本能的行動パターンがあるからです。
そして、適切なハウス(あまり大きすぎず安心できる場所)と適切なトイレ(ハウスから離れた場所で、少し広めの大きさ)を考慮すれば、古典的条件づけによりすぐに学習します。
不適切な排泄(成犬)
子犬の時のしつけには問題がなくずっとうまくいっていたが、突然不適切な場所で排泄するようになることがあります。このような行動の原因には、
尿によるマーキング、下痢などの消化器疾患で間違った場所での排泄行動それ自体が強化された場合に引き続いてみられる不適切な場所での排泄があります。
<対策>
医学的な問題(泌尿器系の疾患による頻尿、消化器疾患による排便など)があるか否かを獣医師に判断してもらい、装でなければ、
・環境の変更:ハウスとトイレの大きさ、位置、場所の確認。
不備であれば変更。
・行動療法 :しつけのし直し
尿マーキングは支配性意識が高まると起こしやすい。
不適切な排便の場合は行動の消去や報酬を利用した逆条件づけ。
・ホルモン療法:尿マーキングは去勢手術が有効な場合がある(約50%)。
服従的排尿行動
医学的な問題以外で不適切な排尿がみられる場合で服従行動に伴う排尿行動です。代表的なものに人が近づいたときなどに仰向けの姿勢で片足をあげ
、受動的服従行動として排尿してしまう場合です。すでに服従的立場にある犬に、犬にとって支配的地位の人が近づいた場合に服従的排尿行動が起こります。
<対策>
・行動療法
飼い主がとる支配的な態度や行動を変更する。例えば犬に接するときにしゃがんで犬と同じ高さで接するなど。
・注意
過度の興奮によっても排尿する場合があるので、それとの見極めが重要。
飼い主の関心を求める行動
咳をしたり(抱き上げるとやむ)、跛行、空中のはえを捕まえるようなしぐさなど様々な行動をとります。これは飼い主に対し関心を引こうとする行動なので、
飼い主がいないときには起こしません。
<対策>
・行動療法:飼い主と犬の関係の再構築。
問題行動への強化の回避。
報酬を利用した逆条件づけ。
例えば、問題行動をとったときに「伏せ」等の別の好ましい
行動をとらせ、その行動に対して報酬を与えるなどです。
常同症
動物が緊張や不安を緩和させるために行う行動を転位行動といいます。葛藤(二者の選択)、欲求不満(本能的な行動に対するもの)、高揚状態(喧嘩
の直後)等にみられます。転位行動としては、毛づくろい、体をなめる、床を引っ掻く、自分の尾を追うなどがあります。転位行動が繰り返し行われるようになると常同症といいます。
常同症で例えば、前足を舐め続けると舐性皮膚炎(肉芽種)になる場合もあります。
<対策>
・行動療法:
飼い主と犬との関係の再構築
飼い主との関係が退屈な場合。誰にもかまってもらえない。
きっかけとなる葛藤や高揚状態への対処。 |
 |
|